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変声期、歌を忘れたカナリヤ

 変声期が来たのは中学一年の3学期だったろうか? その時期が来てから音楽の時間が苦痛になった。
 変声期が終わって声が変わった後もだった。合唱で声が出なくなったのだ。音程が1オクターブも出なくなったのだ。
 当然、音楽の時間の合唱は声が出ない。当時中学の音楽の授業は合唱かレコード鑑賞しかなかった。仕方なくオクターブ落とそうと思ってもそこまで落ちる訳がない。声が合わせられるのは半オクターブぐらいまでで、歌には無らなく音楽の時間は殆どクチパクであった。
 
 発声練習などをやれば高い声が出たのかも知れないが、そういう発想すら無く個人差だろうと思って誰にも相談する事はしなかった。
 他の子はどうやってたのかも聞かなかった。中学1年の2学期までは大声で歌っていたのに「歌を忘れたカナリヤ」になってしまった。
 
 それからカラオケなど自分から一度もやったことはない。マイクを出されても先ず歌う事がない。逃げることは卑怯に思われてどうしょうも無く「イヤ」なのだがカラオケばかりは「逃げの一手」である。
 だから無理に勧めないでね。
  
 随分前の会社で、ある若い社員に真顔で「カラオケが苦手なんです。どうしたらいいですか?」と相談された。その時に私は「もし、どうしても歌えと言うならば『私は会社を辞めます』と言え」と言った。すると彼は随分、にこやかな顔になった。
 彼も自分の歌がヘタクソだと判っていたのだろう。羞恥心が有ってシャイな奴だったのだ。
 
 文部省も学校も変声期が終わって声が出ない生徒にどうして問題解決策を施さないのか当時から疑問だった。
 クチパクはオラだけでは無かったかも知れない ─── それともオラだけだったのだろうか?
 
 最近、思うようになったが、声を出さないと益々声が出なくなる。いざ出そうとしても擦れてしまっている。相手が顔を近づけてくる時もある。
 相手が「聞こえません」というのが失礼だと思い必死に聞き取ろうとして顔を近づけて来るのが理解出来る。
「ナントカせねば」ならぬ。