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柚べし

 田舎の一寸、珍しい一品だ。お菓子の「柚ゆべし」ではない。柚まるごとの皮の中に味噌とクルミやゴマやミリンを入れて数ヶ月寒風にさらして作る。てっきり紀州龍神の名産品かと思ったら奈良十津川や長野にもあるらしい。
 素朴な味でお茶漬けや酒のつまみにも合う。我が故郷にもあるが、駅ぐらいにしか置いていない。父や母が龍神物産展で時々買っていた。
 有楽町にある和歌山県のアンテナショップで買って来たが、産地が龍神では無かった。おまけにカチカチで、いつも食べているのとは違う感がした。龍神産のは時間が経っても柔らかいのだ。


 アンテナショップや地方の名産品を扱っている所は結構あるが、その地方の中で味が一番と言うのは中々、見当たらない。東京のバイヤーが逐一、味のチェックなどする訳が無いからだ。尤も、バイヤー達が舌が肥えているとは思えないが・・。
 「金山寺味噌」にしたって色んなメーカーから出ているが、その地方で一番、美味しいとされる人気のある店のには当たらない。この辺がアンテナショップや地方物産店の成否を分ける筈なのだが、味が一番なのに東京で紹介されない地方メーカーは不運としか言いようが無い。
 成功するという事は「お店が流行る」と言う事と勘違いされているが、そうでは無い筈である。その辺の諸々の事が今の経営学者の考え方と、かけ離れているのだ。今の経営学は店が流行って利益が出ればよいと言う考えだが、お店が流行ったとしても美味くないモノを並べていたら世間に迷惑を掛けている訳だから。店の雰囲気作りだけでは無いし、店のデザインだけでは無いのだ。
 この事は食べ物屋にも言える事なのだが。めし屋は接客や雰囲気より「味が全て」と言ってもEはずだ。