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「祭りの準備」

 原田芳雄が出演した映画で一番印象に残っているのは「祭りの準備」だろうか。 何故か名画座によく来て、来るたびに観に行ったので3〜4回ほど観た。それほど当時の心境に合っていたのであろう。石坂洋二郎作、吉永小百合主演の青春映画など全く心に振れる事はなかったが、この映画はリアルそのものだった。今度、追悼番組でやれば観たいものである。原田は主人公の隣に住んでいた泥棒一家のチンピラ役である。高知にはこんな人達も居るのかと思うほどドンピシャだった。

原田の兄が警官に追われるシーン。かなり遠くから撮られていて5秒から10秒位の間だが逃げる姿がパントマイムの様で面白く、観客から笑いが湧いた。


 この映画、映画評論家には散々だった。殆どの評論家が監督の黒木和雄が今ひとつだと書いていたが私は問題ないと思う。周りの人間に聴くと賛否両論だった。賛否に別れた者に共通点が一つあった。理解出来ると言うのは、ほぼ100%地方から来ている人で、反対に否定する人、解らないと言うのは東京周辺の人(家族と住んでいて自宅から通っている人)とはっきり別れた。前の評論家らは後者に属すのは間違いない。
 地元に18歳ぐらい迄いると普通は家を飛び出したくなる(家族と離れたくなる)ものだ。わたすは14、15歳からだったが。
正常な精神の持ち主ならこれが普通だと思うのだが、こちらの人間は何故そのような心境には成らないのか不思議に思った。「楽、利便」なのが主な理由だろうが・・。
 「鬱屈した社会から出たい、親と離れたい」というような独立心がないと、この映画の本質は理解出来ないのかと当時思った。原田も良いしハナ肇も良かった。
原田主演の「龍馬暗殺」も観たかったのだが何故か名画座には現れなかった。