ノーベル文学賞作家、漠言の本が気になり、手始めに短編集を買ってみた。
同じノーベル賞候補だった村上春樹の書は、さほど つまずかずに読めるが、琴線に触れる事も無く自分に合わないので、ノーベル賞文学というのがどんなモノか感じたくなったのである。
しかし、莫言の本はスラスラ読めない。漢字が多く読み方も分からないのが多く難儀である。ネットと違い読み方が分からないと調べようが無いのだ。
「辞書で調べろ」って? そんな悠長なことはしていられない。
まるで子供の頃に新聞を読み出した時分、漢字を飛ばし読みした時と似ている。もっとルビーを振るべきである。
それと翻訳にも問題が有ると思う。日本人に読ませるのであるから原文を忠実に翻訳する必要が無いのだ。
日本ナイズされた方が物語に感情移入できるのに ─── 短編集「白いブランコと犬」は直訳に近いのだろうか、スラスラページが進まない。
今は間訳の時代だ。ストーリーを曲げなければ間訳の方がEーのである。
しかし状況描写がきめ細かい。特に自然描写が くどいほど書き込まれる。「文学とはこういう物」だと主張している様にも感じられる。
村上春樹と違いカルトが無いので私には素直に物語に入っていける。
氏が貧しい農村で育ったのは感じ取れるし都会育ちでは絶対に書く事が出来ないような内容だ。自分の体験と創造を掛け合わせているのであろう。
おそらく田舎育ちの人には割合すんなり入っていけるであろう。わたすは田舎育ちだが海の方だったので野山の描写は半分想像するしかない。
少年がポプラの木に登るシーンなど、その木がどういう樹なのか分からず、ネットで調べるまで情景が伝わってこなかった。挿絵でも付けてくれれば助かるのであるが・・・。
コーリャンという食料がよく出てくるが食べたこともないし見たことも無いのでネットで調べるがどんな味なのかどのようにして食べるかも分からない。
毛沢東の教育が影響していたのか、逆らうと生きて行けない事が判っているのか露骨な体制批判などは無い。
春樹の作品は途中から、もうEーよ「早く結論出してくれよ」となるが莫言のは「どうなるのだろう」という期待感もある ─── 何も起こらない場合もあるのだが。
しかし、物語がどれも救われ様のない小説である事は間違い無い。ハッピーエンドなど有り得ないであろうと思われる。
まだ、2〜3編だが一冊読んでから長編に行くか決めようと思っている。