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キス釣り

 子供が まだ小学校や保育園の頃、田舎へ帰省した時、直ぐ近くの海岸でキス釣りをした。今の季節が一番キス釣りに向いている。
 キスは日本の西の海岸だと何処でも釣れる。ところが家族は釣り針にゴカイを付けられないのだ。子供も妻もゴカイに触れず、釣り針にゴカイを刺して竿で投げるのは全てわたすの役目だった。おまけに釣り竿2本だ。投げて、糸を張って、竿を渡して、次の竿の針にゴカイを刺して、投げて、また次に渡すのだ。魚が掛かるとまた同じ事を繰り返す。自分が釣りを楽しむ余裕も無いほどだった。家族で帰省をする事はもう無いのでキス釣りも10年近くしていない。
 春先からキス釣りのシーズンだが、最近は田舎で子供達が海釣りをしているのを見かけなくなった。今はリタイヤした老人がたまに見かけるだけだ。昔は圧倒的に子供が多かったのに・・。理由は色々あるだろうが、海を埋め立てて魚が減ったのが最大の原因だろう。魚が釣れなくては誰も釣りなどしないからだ。
 しかし、田舎でも東京でも今、アウトドアで遊ぶ子供が圧倒的に減ってきたなあと感じる。子供の頃、外で遊べない雨の日は本当に辛かった。傘をさして外に出るが、外には誰もいなく、雨の日は人生ってつまんないナーと思ったりするほど雨は嫌いだった。インドアでゲームなど、晴れている日には考えられなかった。わたすが今の時代の子供だったらゲームっ子になっていただろうかとふと思う。

 キス釣りに行くと外道も掛かる。一番嫌がられるのはフグである。フグはそのまま海岸の砂浜にうち捨てられる。次がグロテスクなコチである。コチはキスより美味いのだが、何処の母親もヌルヌルの肌を嫌がって調理をしないのである。これも海岸にうち捨てられる。勿体ない話なのだ。東京に来て天ぷら屋でコチの方が「美味いじゃん」と思った時は勿体ない事をしたと思ったが、母が嫌がってコチを捌かなかっただろう。
 釣りというのは父親に影響を受けるモノだ。わたすの周りの釣りをする子供達は殆どの親父も釣りをしていた。それと海に近いと言う事も条件であった。魚が掛かった時のドキドキ、ワクワク感は大人、子供関係ない感覚なのである。