無類の映画好きだった父はピエトロ・ジェルミ 監督、主演のイタリア映画「刑事」を観て、えらく気に入ったらしく、早速レコード店でサントラの主題歌「アモーレ・ミオ」を買って来た。しかし当時、我が家にはレコード・プレイヤーは無く、近所の伯母の家にレコードを持って聴きに行ったのだ。
しかし、伯母の家のプレイヤーは手回しのＳＰプレイヤーだったのだ。ＳＰプレイヤーでシングルレコードを掛けても音が出るわけはなく、釘の様な針でレコードはガリガリになりおシャカになった。 もう お笑いの世界だ。
当時、伯母の家にあった蓄音機と同じ物がWikipediaで出ていた。
帰ってきた父は「あかんかった」と一言だけ言った。
ところが諦め切れなかったらしく、後日また同じレコードと新品のプレイヤーを自転車に乗せて買ってきた。当時の金で5千円ぐらいだと思ったが、今なら多分6〜7万ぐらいになると思う。当時の我が家の家計でよく買えたものだ。
やっと家で「アモーレ・ミオ」を聴けて父は満足した様だった。それから別の映画を観てシルビー・バルタンが歌った「アイドルを捜せ」などがプレイヤーでよく掛かっていた。
もう聴く機会は無いだろうと思っていたが、今はYouTubeで簡単に聴くことが出来る。
http://www.youtube.com/watch?v=qYG9kJB5HmY
Ｅ時代なのかも知れない。
