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「4回戦ボーイ」

 ↑とはボクシングでファイナルやセミファイナルの試合の前にやる前座である。相撲で言えば十両の前の序二段あたりの取り組みであろうか?
 このタイトルで大昔、ボクシング好きの父が “月刊シナリオ” か “ドラマ”に脚本を応募した事がある。チャンピオンを目指す若いボクサーの話である。もちろん賞などは取れずに終わったのだが・・。
 そのコンテストに最優秀賞などを取れば、ドラマ化されテレビで放送される運びとなるのだ。
 その後、半年か一年ぐらい経ってからか、テレビ番組で同じようなタイトルで( “4ラウンドボーイ”か “6回戦ボーイ”か覚えがない)がやっていた。それを見た父は「同じようなタイトルで、中身も俺が出したのと部分的に似とるなあー」と呟いた。「これを書いた脚本家は、俺のを審査した人なのかナー」とも言っていたが、ビデオも無い時代だ、真相など判りっこないが「パクられた」とは言わなかった。
 
 原稿用紙の父の字は子供には読めなかった。字がヘタでは無いのだが、癖がありすぎて中学生坊主のわたすには読む気はしなかったのだ。だから父の「4回戦ボーイ」も読まず終いだった。
 父が亡くなり、段ボール3箱ぐらいの原稿用紙を「気に入ったのを自費出版したのだから、もう残して置いてもしょうが無かろう」と母に言ってすべて処分した。
 今の様にワープロなどで書かれていれば読んでいたかも知れない。今になって思えば一寸、心残りであった。