昔、父が生きていた頃、安月給なのに毎朝コーヒーはブルーマウンテンを飲んでいた。
一番の楽しみだったのだろう。
ところがブラジルで冷害が有りコーヒーがブラジル品種が穫れなくなった年が出た。
その年はわたすがまだ田舎にいた頃だとばかり思っていた。
ブラジルの豆が穫れなく成っただけなのに世界中の豆が高騰した。
普通の豆が100グラム80円〜90円だった(定かではない)がブルーマウンテンは
300円以上していた。
コーヒーの値が1.5倍以上に成ってブルマンはもっと高くなった。
その頃から父はブルーマウンテンを諦め他の銘柄に変えた。
貧乏だったので仕方あるまい。さすがに自分の好みを押し通す事はしなかった。
他の家族は誰もコーヒーを飲まなかった。ギリギリの生活で高級銘柄など飲めない。
確か半世紀以上前だと思っていたが調べると1975年になっている。
オレは既に東京に出てきていた。記憶も曖昧だ。
当時からブルマンは高かったが今でも別格だ。
その価格の価値があるかは疑問だが。挽いた時の香りは別格だったが・・・
朝、来客が有るとその珈琲の香りに「なんとええ匂いがするのう」と
コーヒーを飲まない近くのオバサンが言っていた。
わたすも父が生きている時ブルーマウンテンをおみやげに買って帰省したのを
覚えている。自分では他の豆の4〜5倍する豆の値段の違いが理解できなかった。
今度コーヒー豆が無くなれば何年ぶりかで買ってこようと思うが中々出来
ない。妻は「後、何年生きられるか分からないんだから」と割りと平気で贅沢するが、
こっちはケチ臭く育ったので出来ないのだ。