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コーヒー

 以前あるテレビ番組で太平洋の島国の取材中 スタッフが島民にコーヒーを勧めていると、どんなに「旨いから」と勧めても村長だけは頑なにコーヒーを飲もうとしなかった。他の島民や若者らは初めて飲むコーヒーを味見しているのに。
 別れ際にスタッフが、何故飲まなかったのか村長に聞くと「もし、それを飲んでワシが旨いと感じたとしたら、若い衆にそれを売っている島に買いに行けと命令するかも知れないからだ」と言ったという。それを聞いたスタッフは執拗に勧めた事を反省したかも知れない。
 
 深〜い話だ。現金収入の少ない島には贅沢品は不要なのだろう。贅沢品は人間の心と感覚を狂わすのかも知れない。村長はその事を理解していたからコーヒーを一口も口にしなかったのである。
 私にはその島の村長という重責は務まらないだろうと思った。
 
 その番組のタイトルや内容や出演者は全く覚えていないのに、ナゼかそのコーヒーの逸話だけは覚えている。