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傷跡

子供の頃、ケンカをして顔にキズを負った。
こぶしぐらいの石が飛んできた。それが顔面に直撃した。
まだ小学生になっていなかっただろう。
もちろん大泣きした。
母は買い物で留守だったので近くの伯父が自転車の荷台に乗せて
病院に連れて行ってもらった。
 
病院で外側からと口の中から二針も縫う手術だった。
今でも口の上に傷跡が残る。
相手は近くに住む2歳ほど年上の奴だった。
2グループで最後は石の投げ合いになった。
私は相手のことを思い、小さな石しか投げなかったが相手は
こぶし程の石を投げつけて来たのである。
常識の無い奴だったのだろう。
 
普段、物静かな祖母が血相を変えて相手の家に怒鳴り込んだという。
その事をずっと後で聞いた私はそれが一番驚きであった。
他人に対して激怒する様な人では無かったからだ。
ここ迄書いていてこの事は以前書いた様な気がする。

祖母は良家の出で侍女を何人も従える “ごりょうはん”だったのだ。
尤も祖父が亡くなりお家が滅亡状態になり一家離散するまでだったが。
 
病院から家に戻るとしばらくしてケンカした相手の母親がキャラメル2箱
持って来て置いていった。
その時はまだ両親も戻っていなかった。
その後、一度も謝罪に来なかった事を母親は怒っていたのを想い出す。
 
今でも髭剃りをしていてその傷跡を見ると何十年も前のことを
想い出す事がある。
女の子だったら親も本人も一生、気にしていただろう。