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一斉アルコール検査

母の弟、つまり私の叔父だが昨年10月に亡くなった。
母が生前、言うにはその叔父が夜、車で帰宅中、一斉アルコール検査で
停められたそうだ。
警官に向かい息を吐かされ「何処で飲んできたんだ」と聞かれた叔父は
観念して正直に「あそこと、あそこと其処と其処と・・」と答えたらしい。
警官も一々調書を取るのが面倒くさいのか「もうええわ、気を付けて帰れ」
と言って捕まらなかったらしい。
30年以上前の話だ。今なら有り得ないない話だろう。
叔父はその後、一度も飲酒運転で検挙されずに済んだ様だ。
 
叔父は「人の良さそうな面」をしていたので警官も多めに見たのだろう。
顔が人生を決める時もある。
叔父は百姓が本業だったが生活のため土方(建設関係)の仕事もしていた。
  
伯母の葬儀の時、弟である叔父が田舎から出て来た。
私が羽田空港まで向かいに行き葬儀会場に行く途中、昼食を一緒に取った。
ビールも飲み、その時、初めて叔父と男同士の会話が出来た。
 
その会話は「わしはほんまは百姓の仕事だけやりたかったんやけんど・・・」
「百姓一筋で頑張ったとしても収穫が倍にはならんけど、もうちょっと収穫も
増えて良い作物も作れたと思う」と言うような事を聞かされた。
それは本音だと思った。
 
後にある席で親戚や従兄弟たちにその事を話した事がある。
叔父はその本音を誰にも話さなかった様で、その話を聞いた人達は驚いていた。
皆、叔父は百姓が嫌いで土方の仕事に行っていたと思っていたらしい。
 
叔父は本音を誰かに話したかったのだろう。
兄弟にも家族にも話さなかった事を甥の私に話したのだ。
叔父が後々、家族に伝えてほしいと言うメッセージだったのかもしれないと
思い、“お喋り”な私は母の三回忌か何かで話した事を覚えている。