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香水と料理屋

 たまに行くダイニングランチ屋の事である。普通の定食屋と違い店内が明るく清潔感がある。殆ど問題はないのだが働く店員の一人がわたすにとって、すごくイヤな香りの香水を付けているのだ。ハッキリ言ってメシが不味くなるのである。前を店員が通る度にヤな思いをする。
 余程、文句を言ってやろうかと思うが中々切り出せない。個人的な事だし、言われた方も言った方も後味が悪く成るのは目に見えている。「大体、飲食店のウェイトレスが香水を付けるかよ」高級店では有り得ない話のなのだが・・・そこは1000円未満のランチ屋なのだ。
 
 大昔、銀座松屋の裏にビーフシチュー屋があった。そこはカウンター席だけで6〜7人ほどが座れる位だったと思う。そこを一人で切り盛りしている婆さんは客にとやかく文句を付ける人でマナーもうるさかった。シチューが出る前にフランスパンが先にテーブルに置かれるがそれを食べ始めると、いきなり「パンだけ先に食べるモノではありません」と叱られた。
 ある時、一緒に入った同僚がアラミスのオーデコロンを付けていた。入って席に着いた途端、婆さんに叱られた。「料理屋にそんな香水を付けて入いるものではありません。料理の味も香りも分からなくなるでしょう」と言われた。
 客の中にはその婆さんの「お叱り」を楽しみにしていた客もいた。当然の事だが、いつの間にか店は無くなっていた。