大昔、二十歳頃「東販」と言う会社でバイトをやった。
書籍、雑誌の流通大手で各書店にビニールパックされた束になった書籍や
雑誌を分類して各書店に配送する会社だ。
わたすがやる仕事は2階から書籍、雑誌類が固まって滑り台で滑って来た物を
1階のトラック配送場に流すと言う単純な作業だった。
自動なので荷物がストップしなければ何もすることが無かったので本を読んでいたが、
パッキングされた配送物が途中の滑り台で止まり渋滞が起こる事がよくあった。
その停まった荷物を取り除くため滑り台の下から駆け上がって取り除くのがバイトや
労働者の仕事だった。滑り台の下側に二人も配置されていた。
その滑り台が10レーン以上あった。
なんとバカらしい作業かと思ったわたすは暫くして滑り台の両側に鉄の柵を取り付けた。すると見事、荷物は止まらずに流れた。
柵の材料は工場にいくらでも有った。
やる事が殆ど無くなったわたすは本を読み続けた。すると他のレーンの奴があいつは
「サボっている」と言い出した。わたすよりかなり年配の労働者だった。
「そんな事をすると俺達は首になる」と言う思いだったのだろう・・・おそらく。
しかしあまりにも単調な仕事だったので2週間ほどでその工場を辞めた。
それからその工場はどうなったのか知らない。
おそらく上司がわたすが作ったガードを見て全てのレーンに取り付けただろう。
20人ほどリストラ出来たはずだ。
わたすをその会社の業務全体を見る責任者に据えれば効率化が出来て利益が
出たはずだが当時は今のようなコストカットの時代ではなかった。
森永のカルピスの瓶詰め工場でもバイトをしていた時も腰を痛める事無く、手早く
流れ作業をこなす方法を思いつきやっていたがスムーズにやり過ぎると荷物が
足りなくなり下側の作業者が仕事が手持ちぶさげになるので文句を言われた事が
有った。ホンマにアホな労働者ばかりだなと思ったことが有る。
作業、労働はというのは効率よく楽をしながらサボりながらやらないといけない。
40年以上前の話だ。今は合理化が進み工場に人はいなくなっただろう。