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美術館を手玉に取った男


↑を今日、観てきた。2ヶ月以上前から楽しみにしていた映画だ。
美術品の贋作を作り美術館に無償で寄贈していた人物のドキュメンタリー
映画である。
しかし、予告を見る限りドキュメンタリー風の映画だと思っていた。
 
最初は「主演役者の演技がは妙にリアルだなー」と思えた。
かなり俳優が主人公のランディスを研究し、本人に成りきっているのかと
思った程だ。
 
帰る途中チラシを見ると出演マーク・ランディスとなっている。
「本物だった」他の出演者も本物達だ。もちろん演出も多少ある。
 
終盤やたらランディスの歳の取り方がリアルだと思えた。
終盤は老けたのはメイクの所為だと思っていたが体調の悪い時に
撮影されたのだろうか?
あるいは前半の撮影で疲れてしまって終盤はモロに出てしまったのか?
  
ドキュメンタリーでここまでの作品にするには製作側にかなりの技量がいる。
企画・構成・演出・プロット・喋らせるテクニック・・・どれも巧い。
ま、ドキュメントと言ってもリアルタイムで撮影されている訳では無く
ストーリーに基づき撮られている。いわゆる再現フィルムだ。
 
映画観賞中ずーっと考えていた事は主人公マーク・ランディスにとって
贋作の絵画を寄贈し続けて一生を終わった方が幸せだったのか、
それとも贋作を暴かれ世間に名を知られる様になった、今の方が幸せ
だったのか? 本人のみ知る所なのだろう。
 
英語が理解出来れば悩まない所だが贋作と判明した後、寄贈を受けた
ある美術館の学芸員が「どんな理由があっても言い訳が出来ない」
とカメラの前で語るが、この言葉はプロであるのに偽物と見抜けなかった
自分に対し「言い訳は出来ない」と言っているのか・・・
それともプロなのに『目利きで無い』事を晒され赤っ恥をかかされた事への
鬱憤をランディスに対して「言い訳は出来ない」と言っているのだろうか?
 
一番面白いシーンで観る者に取って一番興味のある美術学芸員の「言い訳」
を数ある美術館の騙された学芸員、全て収録すれば良かったのだが・・・。
 
最近の演技オーバーで演出過剰でリアリティー無しの映画にシラけて、
辟易している身に取ってはワクワク感がラストまで続いた。
 
最後、どのようなエンディングするのか楽しみだったが最後の落とし所も
うまく演出されている。
周りの者が考えて提案したのをランディスが了解したのだろう。