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K2

昔、↑と言う菅原文太の舞台を観に行った事が有る。
「文太ファンで山が好きで K2好きなら行くしかないじゃろう」と言う
事で妻を誘って観に行った。
サンシャイン劇場で演っていたと記憶する。
共演は木之元 亮 だけの二人芝居だった。
 
舞台も氷壁だけで、そこで1時間半程の舞台が続く。
スタートからラストまでこの氷壁だ。

 
K2は世界最難関の山で「非情の山」と言われている。
エベレストより難関で犠牲者も多い。
NHKのグレートサミットでも今だに特集されない山なのだ。
登頂して戻って来られる確率は50%と言われる。
 
その『K2』の舞台を観たのは30年位前だろうか?
「K2」は何度か映画化されているが、舞台で演るというのはかなり大変だ。
 
何度も舞台設定を変える訳にはいかないから、ぶっ通しの舞台だ。
場面も最初から最後まで氷壁だけだ。
演出は外国人だったはず・・・。
この氷壁で最初から最後まで演じなければならない。
一ヶ月近く上演されたが本物のアイゼンにピッケルを打ち込んでいくので
「あのセットは良く持ちこたえた物だ」と妙な所で感心した。
 
ストーリーは途中から始まる。
雪崩に遭って遭難し岩のテラスでの夜明けのシーンからだ。
本は読んでいないが、それまでの物語は全て捨てられカットされている。
見事な演出だ。
 
舞台では足を骨折し、一歩も動けない菅原 演じるハロルドが絶望的な
状態から木ノ元 演じるテイラーをなんとか一人だけでも下山させようと
説得する二人の心の葛藤を描いた内容だ。

一日ビバーグしているので日暮れを迎えたらお終いだと言う事は二人とも
分っている。
ラストはテイラーが岩をよじ登り場面から去り、ハロルド 一人に当たっていた照明がゆっくりフェードアウトしていき幕が降りる。

自分を犠牲にしてテイラーを行かせたハロルド(菅原文太)がエラくかっこ良く
見えた。

ところが、妻の意見は全く違っていて、木ノ元が演じるテイラーが
メチャクチャカッコEーと言う。
 
私は「この温度差はいったい何だ」と思ったモノだ。
「男」と「女」の通じ合えないモノが有るのかと初めて感じた。
 
その温度差が縮まらないまま現在に至っている。
 
しかし映画では確か、ラストは二人とも助かる様なエンディングに
なっていたと思う・・・
   
カーテンコールには二人は最後まで応えなかった。それも演出だったので
あろう。 
そこでカーテンコールに応えればハロルド(文太)も助かったのかと思われて
しまい後味が微妙に成ってしまうからなのだ。