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社長印

 かなり昔の会社でのことだ。デザイナーのわたすが営業部に用事があり、たまたま空いていた営業課長の椅子に座っていた。そこに営業の顔見知りTが来て「課長、ハンコ下さい」と言って書類を持って来た。わたすは何の躊躇もなくその机にあった課長の印鑑でハンコを押した。するとTはすぐさまその書類を部長の席に持って行った。それを見ていた若い営業マンは「オオーッ」と声を出したが我々は何喰わぬ顔をしていた。会社のシステムというのはその程度のモノなのだ。
 稟議書にしたって見積書にしたって、その他、報告書などの書類にしたって印鑑さえ押していれば済むのだ。一枚の書類で何個もある印鑑欄は責任逃れのためにあると言っても過言ではない。
 担当部門で4カ所、総務部門で4カ所という書類もあった。日本の組織とは何所も同じなのだろう。まさに時間の無駄としか言い様がない。
 会議にしたって同じ事が言える。日本が沈没していくのは成り行きなのだ。

我が家の社長印なのだ