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ヒッチハイカー

 日本では殆ど形体として存在しない旅スタイルだ。そもそも習慣が無いし、やる人も無い。だから手を上げても車は止まらない。二十歳ぐらいの時、ある旅途中の道で1時間近く手を上げていたのだが車は止まってくれず見かねた近くのおばあさんが「タクシー呼んだげようか?」と言ってきたことがある。勿論、断ったが。
 大体、手を上げて駐まってくれる車は1時間に1回あればいい方だ。信号機があれば赤信号で停まっている車に方っ端から声をかけるが、かなり効率の悪い旅である。
 わたすの高校時代、田舎の方から通っていた友人が電車(ディーデル車)が2〜3時間に一本しかないので学校の帰り時々ヒッチで帰宅していたのを想い出す。モチ学校から見えなくなった所の国道から始めていたが。
 最初にわたすがヒッチをしたのは19の夏だった。まだ見ぬ上高地日本海を見たいと思ったのと暫く逢っていない大阪の友人に会うのも目的で東京から実家の和歌山まであちこちグルグルとヒッチをした。
 その時、ヒッチハイクとは自由気ままに安易に出来る旅ではなく人の温情に頼っておこなう旅スタイルなのだとつくづく思った。長距離トラックは100パーセント停まらない。大昔、ヒッチハイクの漫画が少年誌に連載(ヒッチハイク天国 だったかな)されていたがその漫画ではハイカーを乗せたのは殆どトラック野郎だったのだが・・。乗せられないのは会社の規則なのだろう。マイカー族も停まらない。停まってくれたのは殆どライトバンの商用車だった。
 停まってくれるだけでもかなり親切な人達なのだが、仲には家に泊まっていけと言う人もいた。一回だけヤクザの車にも乗っけてもらった事がある。
 日本ではヒッチハイクは広まらないのはやはり習慣や考え方の違いだろうか?この国ではヒッチ旅行は無理だ。わたすが何度かヒッチをしていてヒッチハイカーに出会ったのはたった一回限りだ。同類と会えてかなり嬉しくて30分ほど立ち話をした。奈良県のかなり田舎の方だった。
 しかし10代20代で見る景色と中年になってから見る景色は輝きが全然違うのは何故だろうか?「可愛い子には旅をさせろ」と言うのは若い時の苦労は身に付くという本来の意味よりも若い時に見た景色の方が数段良い景色に見えると言う事かも知れない。