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ワタリ

 ワタリというのをご存じであろうか? ウキペディアにも載っていない。もちろん百科事典にも。
渡り歩く、ワタリガラス渡世人などが語源だ。ナガレと言う人もいる。どういう意味かというと春先、鹿児島あるいはもっと南の島からミカンなどの収穫作業などのバイトをしながら暑くなると徐々に北に移動しながら食いつないで、最後は北海道まで渡る人々の事だ。そのワタリの移動方法はそれぞれで徒歩であったりチャリであったりバイクであったりする。今では殆ど生息していない。10年ぐらい前まではよく見かけた。夏休みだけ北海道を旅行するミツバチ族とは違う。
 北海道あたりで時給の一番良いバイトは「昆布干し」だろうか? 東京の平均時給よりはるかに高い。その代わりものすごくきついと言う。急な崖を昆布を担いだまま何十往復もする。わたすには無理だ。ライダーハウス(説明するには長くなるから検索してね)などではバイト先の情報、時給の話など色々、意見交換される。
 要するにワタリとは現代社会に適応できない人達がほとんどなのだ。一見、自由気ままに生きている様で案外そうでもない。今で言うニートとも違う、ドロップアウトしているの方が近いかも知れない。利尻のキャンプ場で会った人もそうだった。30代なかばで1ヶ月近くそのキャンプ場にテントを張り生活していると言う。ほとんど一日読書していて穏やかなはなし方で風呂屋の回数券も持っていた。毎年来ているらしい。「利尻山頂からの眺めは運が良ければ本州も見えるし、樺太も見えるし大陸も見えるし人生観が代わるほどの眺めだからもし天気が悪ければここに停滞してでも登るべきだと」言っていた。
 いま一寸けがをしてしばらく休養しているとも言っていた。それが本当かどうか判らなかったがあの人は無事社会復帰出来たのだろうか・・?

礼文島スコトン岬にて 昆布干しているのはワタリでは無く地元の漁師